富士市ユニバーサル就労支援センター様 職員向けハラスメント研修レポート

レポート 研修受託事業

2月9日に富士市ユニバーサル就労支援センター様の職員向けハラスメント研修を担当させて頂きました。

はじめに、富士市ユニバーサル就労支援センター様のご紹介をさせて頂きます。
ユニバーサル就労とは、働きたくても働きづらさをかかえた「全ての市民」が仕事に就き、「生きがい、働きがい」を感じられる社会をつくる取り組みのことです。

富士市は全国で初めて平成29年4月に「ユニバーサル就労の推進に関する条例」を制定し、富士市ユニバーサル就労支援センターを開設しました。

主なお仕事としては、以下の図のように就労支援員の皆さんが、就労希望者一人ひとりのペースに合わせた進み方・支援方法で、企業と就労希望者双方の状況に合ったマッチングやサポート等を行っています。

今回は日頃から人材育成のサポートをさせて頂いている富士市社会福祉協議会様からのご紹介により、講師役を担当させて頂きました。

研修の内容

就労支援員の皆様全員を対象とし、パワーハラスメントとカスタマーハラスメントにおける以下のポイントについて確認をさせて頂きました。また、皆様が実務を行う上で難しいと感じていることを拾い上げることを目的にグループワークも行いました。

パワーハラスメント

  • 雇用契約の特性
  • 使用者の義務である安全配慮義務
  • 2022年4月に全ての事業所に適用されたパワハラ防止法による4つの防止措置
  • パワハラの定義と6つの類型
  • 業務上の指導とパワハラの線引き
  • 過去3年間におけるハラスメントの相談件数。約3人に1人が「パワハラ」、約10人に1人が「セクハラ」、約6.5人に1人が「カスハラ」を経験
  • パワハラが周囲に及ぼす影響

カスタマーハラスメント

  • カスタマーハラスメントの定義。顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の、①要求の内容の妥当性に照らして、②当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、③労働者の就業環境が害されるもの
  • カスハラはパワハラとは異なり法律で義務付けられていない。それは、職種や仕事ごとに顧客対応は千差万別であり、一律でルールを決めることはできないのが大きな要因。そこで、業界や会社ごとでの対応が求められている
  • 過去3年間のカスハラの該当件数の動向
  • カスハラの分類
  • カスハラの想定をした事前の準備
  • カスハラが実際に起こった際の対応

研修を通して感じたこと

国がハラスメントを厳格化している理由は、これからの働く人達が求める職場を実現していくことにあると理解しています。

既に日本は人口減少時代に入り、特に地方で働く若年層は減少しています。良いか悪いかは別とし、現在は会社が人を選ぶ時代ではなく、人が会社を選ぶ時代へと確実に変化をしています。そのような外部環境の変化に対応できない会社からは自然と働く人が離れていき、人手不足により職場環境が悪化してしまうと捉えています。

一方で、私はこれまでの経験の中で、人間は困難に直面し、苦労をして乗り越えるからこそ成長していけるものだと考えています。苦労や努力を通して、良き人格形成がなされるのは不変の法則だと信じています。

私は、これからは時代により変わり続けるものと、時代が変わろうとも変わらないものとを、いかに調和させていけるかが、会社経営や個人の人生経営に必要なことだと考えております。

ハラスメト対策もこれと同様ではないかと考えています。もちろん、法令は遵守しなくてはなりません。しかし、法律を守れば人材が育ち、良い社風がつくられるかと言えば、それだけでは足りないように感じています。
そこにプラスしていくべきことは、まさに富士市ユニバーサル就労支援センター様の支援スタイルのように、自社で働く社員一人ひとりに向き合い、そのペースに合わせた進み方や方法で、その成長を支援していく、思いやりの姿勢だと思います。

偉そうなことを述べましたが、かく言う私自身が課題だらけです。社員と精一杯向き合っていこうと思います。研修現場から至らない自分を内省する時間になりました。有難い機会を頂き心より感謝いたします。

大道 和哉