「人材育成、モチベーション管理」社会福祉法人八生会様 役職者研修レポート

レポート 研修受託事業

令和5年5月26日に社会福祉法人八生会様の役職者研修を大道が担当させて頂きました。
八生会様は昭和59年に設立され、現在は浜松市、磐田市を中心に9つの福祉施設を運営されています。今回の研修は、その中の施設の1つである磐田市にある「ゆやの里」にて、各施設の役職者60名程度の方にご参加頂きました。

研修は二部制で編成されており、私が担当した後半のパートは「人材育成、モチベーション管理」をテーマに情報提供をさせて頂きました。その内容についてご紹介をさせて頂きます。

人が会社を選ぶ時代

人口減少、高齢化、若年者の首都圏等への流出等、地方企業にとって労働力不足は深刻な課題となっています。コロナ禍により、一時的に働く場所を探すのに困った状況もありましたが、各種データを見ると、現在では人手不足を感じている企業の割合は、徐々にコロナ禍前に戻っています。
そして、地方企業にとっては、現状はまだまだ入口であり、ここから出口の見えない人手不足時代に突入していくことになります。

この状況を働く側から見ると、現在働いている会社以外にも、自分を必要としてくれる会社があることを意味しています。また、近年では、インターネットを活用して、容易に転職先を見つけることができる環境が充実しています。

つまり、個人は常に転職ができる状況の中で、現在の職場を選択していることになります。日本の労働市場を取り巻く環境等を鑑みると、これからの日本は「人が会社を選ぶ時代」へと、ますます進んでいくことが予測されています。

厚生労働省「人口動態統計」

人を大切にする会社づくり

そのような背景から、特に地方企業は事業継続のためには、働く人から選ばれる会社を目指さなくてはなりません。それが今回の研修テーマの「人材育成、モチベーション管理」につながってきます。
私は働く人から選ばれる会社づくりの取組は、大きく分けて目に見える部分と、目に見えない(見えにくい)部の2つに大別できると考えています。

目に見える部分というのは、会社の規模、賃金、賞与、年間休日、福利厚生等です。誰の目からもはっきり見えるため、この部分の改善は、採用面では効果を発揮します。しかし、定着や成長面での効果は限定的であると感じています。それは、人は与えられた待遇にすぐに慣れてしまい、その待遇に対して感謝を持ち続けるのは難しいからだと考察しています。

一方で目に見えない部分というのは、職場風土や会社の人間関係等だと考えています。これは入社してみないと、はっきりとは見えてこない部分です。しかし、日本人はこの部分を重視する国民性であることは、様々な調査から明らかになっています。
職場風土や人間関係等は外からは見えにくいため、採用面での効果は薄いかもしれませんが、定着や成長の面における影響は絶大だと感じています。 ほとんどの中小企業では、大企業並みに待遇を改善することは難しいのが実情です。それでも、可能な限り良い人材に働いてもらいたい、事業を継続していきたいと願うならば、私は「人を大切にする会社」を目指すしか方法はないと考えています。

育成・モチベーション管理のコツ

今回の研修では、ここまでの考えについてお話をした上で、「人を大切にする会社」を目指す上でのコツとして、以下の3つについて情報提供をさせて頂きました。

①目的、目標を明確にすること。

本来、目的がなければ目標は存在しません。しかし、私たちは仕事や人生において、目的に合致した適切な目標を設定できていないことが少なくありません。目標の達成率を高めるためには目的と目標をリンクさせることが重要です。そのレベルの動機付けができていないと、人は努力を続けることが難しいです。そして、管理職の大きな仕事の1つは、部下に目的の重要性を語り、目標を明らかにする支援を行うことだと思います。

②部下を知ること

福祉の仕事では、利用者様にとって最善の支援計画をつくるために、丁寧なヒアリングを行うそうです。それはその人の現状やバックボーン等を正確に理解しなければ、適切な支援が行えないという考えに基づいています。それは職場の部下や仲間についても同様のことが言えます。部下をよく理解しなければ、適切なアプローチはできません。そこで、私は、まずは部下を知るための努力をしています。

③「褒める」「叱る」を効果的に実行すること

「褒める」「叱る」を効果的に成立させるためには、前提として上司と部下との間で約束をしておくことが大切です。約束があれば、叱られた本人も納得しやすくなります。しかし、約束がない中で叱られたら、なぜ叱られたのかを理解しきれず、不信感につながるリスクもあります。人材の定着と育成を考える上では、この約束こそがポイントだと捉えています。そして、約束をする上では、①で説明した目的と目標の共通理解が不可欠となります。

今回の研修は、社会福祉法人岳陽会様が事務局を務められている静岡県個室ユニット型施設連絡会の研修がご縁となりお声がけを頂きました。ご縁の繋がりに心より感謝申し上げます。

大道 和哉