「自律型人材の育て方」湖西市社会福祉協議会様 研修レポート

レポート 研修受託事業

令和5年3月24日に湖西市社会福祉協議会主催の福祉人材育成研修会を弊社大道が担当させて頂きました。この研修会は、湖西市の7つの社会福祉法人が合同で企画しており、今回は施設長クラスの皆様が対象でした。

内容としては、組織において求められる自律型人材について、自律型人材を育成するメリット、そして実践事例として富士市で展開している「つながろうプロジェクト」等について情報提供をさせて頂きました。こちらのレポートにてその一部を紹介させて頂きます。

求められる自律型人材とは?

自律型人材とは、自ら考えて主体的かつ能動的に業務を遂行できる人材のことです。
自律型人材の対義語は他律型人材(または依存型人材)となります。他律型人材は受動的なため、上司等から指示があれば行動できるのですが、指示がなければ自発的に仕事を進めることは難しいです。

ポストコロナ時代を迎えつつある中、世界情勢は激しく揺れ動いています。企業は取り巻く外部環境の変化に迅速かつ柔軟に対応していかなければなりません。つまり、これからの時代に生きる私たちには、変化を正確かつ前向きに受けとめ、順応し続けていくことが求められることになります。その中で注目されているのが、自律型人材の育成となります。

自律型人材を育成するメリット

私は自律型人材を育成することで、以下のようなメリットがあると考えています。

①業務の効率化

自律型人材は、業務の優先順位を自ら決めることができますので、上司の指示を待つ時間が減り、効率よく業務を遂行することができます。また、判断材料が少ない中でも、実践を繰り返し、何らかの形を創り上げることができるのも大きな魅力だと思います。イレギュラーな対応やトラブルの発生に対しても、自ら考えて迅速に対応できるため、リスクを軽減することもできます。

②管理職の負担軽減

自律型人材に対しては、目的・目標を明確に共有し、遵守すべきプロセスやルール等の共通理解を図ることができれば、こと細かにマネジメントをする必要はないと思います。もちろん定期的にコミュニケーションを図り、進捗確認を行うことは必要です。 しかし、従来の部下のマネジメントと比較すれば、大幅に負担を軽減することができます。昨今の管理職はあらゆる業務対応が求められており多忙を極めています。自律型人材を育成することで、管理職の負担は軽減されて、本来やるべき重要な仕事に注力することができると考えます。

③画期的なアイデア創出

激動の時代を生き抜くためには、企業にとっては新事業や新商品の開発が不可欠になります。自律型人材は、毎日考えて仕事をしていますので、何か気づきがある度に行動を変化させていきます。私は、このような些細な業務改善の積み重ねこそが、大きなイノベーションを生み出す基ではないかと信じています。人から指示された範囲内で行動をする他律型人材では、画期的なアイデアを生み出すのは困難だと思います。

実践事例 富士市福祉人材育成事業「つながろうプロジェクト」

富士市(事務局は富士市社会福祉協議会)では、以前から市内の福祉事業所が連携をして、人材育成事業を展開しており、自律型人材の育成を大きなテーマとしています。私も2019年度からアドバイザーとして参画をしており、現在は若い福祉人材同士が交流できる場(サードプレイス)づくりを目指しています。

サードプレイスとは、職場でも、家庭でもない第3の居場所のことです。当社が独自に実施したアンケート結果によると、OJT(職場の上司や先輩が仕事を通して指導をすること)のみでは自律型人材の育成は難しく、職場外における学習や人との交流が不可欠なのではないかという仮説を立てています。

そこで富士市では、複数の社会福祉法人様のバックアップのもと、若い世代の福祉人材がサードプレイスを自主運営する取組「つながろうプロジェクト」を2021年度からスタートしています。今年度はひとつの形になるのではないかと大いに期待をしています。「つながろうプロジェクト」の詳しい情報はこちらよりご覧ください。

おわりに

今回の研修は、富士市の福祉人材育成事業のアドバイザーを務めているご縁からお声がけを頂きました。ご縁の繋がりに心より感謝いたします。

静岡県の最西端にある湖西市には、滅多に来る機会はありませんので、研修終了後に豊田佐吉記念館に立ち寄らせて頂きました。トヨタグループの創始者である豊田佐吉氏は、1867年に湖西市にある兼業農家(大工)の長男として生まれたとのことです。

素晴らしい記念館の中で、最も印象に残ったのは、石碑に掘られた「百折不撓(ひゃくせつふとう)」という言葉でした。「何度失敗して挫折を味わっても、くじけずに立ち上がる」という意味だそうです。
豊田佐吉氏から、「あなたに不足しているのは百折不撓の精神だ!」と喝を入れて頂いたような気持ちになりました。初志を忘れず精進いたします。

大道 和哉