ハラスメント研修-明るい職場づくり- 富士市立中央病院主催 職員研修レポート

レポート 研修受託事業

令和5年3月16日に富士市立中央病院様で行われたハラスメント研修を弊社大道が担当させて頂きました。この研修では、パワーハラスメントに関する現状や現場で指導する際に注意すべきポイント、最近増加傾向にある顧客や取引先からの著しい迷惑行為であるカスタマーハラスメント(カスハラ)等について情報提供をさせて頂きました。その一部をこちらのレポートでご紹介させて頂きます。

ハラスメントの現状

令和2年度「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書によると、パワハラ、セクハラ、カスハラ(顧客等からの著しい迷惑行為)について、過去3年間での勤務先での経験有無・頻度・内容を調査したところ、以下のような結果になりました。
多くの方がハラスメントを受けた経験があると回答しており、仕事をする上で身近な課題であることが分かります。

  • パワハラを一度以上経験した者の割合は31.4%(約3人に1人がパワハラを経験)。内容としては「精神的な攻撃」(49.4%)の割合が最も高く、次いで「過大な要求」(33.3%)が高くなっています。
  • セクハラを一度以上経験した者の割合は10.2%(約10人に1人がセクハラを経験)。内容としては「性的な冗談やからかい」(49.8%)の割合が最も高く、次いで「不必要な身体への接触」(22.7%)が高くなっています。
  • カスハラを一度以上経験した者の割合は15.0%(約6.5人に1人がカスハラを経験)。内容としては、「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム(過度なもの)」(52.0%)の割合が最も高く、次いで「名誉棄損・侮辱・ひどい暴言」(46.9%)が高くなっています。
令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査 参照

また、ハラスメントを受けた後の行動として、パワハラ、セクハラでは「何もしなかった」の割合が最も高い結果となっています。何もしなかった理由としては、半数以上の方が「何をしても解決にならないと思ったから」と回答しており、パワハラでは、次いで「職務上不利益が生じると思ったから」が高くなっており、相談をしたことによる報復行為により、さらにエスカレートすることを警戒していることが分かります。
一方、顧客等からの著しい迷惑行為では「社内の上司に相談した」の割合が最も高く、次いで「社内の同僚に相談した」が高くなっています。

令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査 参照

カスハラのように加害者が社外の人であれば社内の人に相談できますが、パワハラ、セクハラのように加害者が社内の人であった時には、社内の人に相談するのはハードルが高いのが実情だと思います。

働きやすい職場環境を維持するためには、何事も早期発見・早期解決を図ることが大切です。早めに情報が入れば、様々な手立てを講じることができますが、事態が深刻化してからでは手の打ちようがありません。このあたりにまでハラスメントの課題を深掘りし、真剣に向き合った上で、会社としての方針や取組を決めて実行することが必要なのではないかと感じています

カスハラとは

カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先という立場の優位性を盾に、暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為のことで、カスハラと略されています。

令和2年度「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書によると、カスハラは増加傾向にあるとのことです。実際に私も顧問先の事業所からのカスハラに該当するような相談案件が増えています。
厚生労働省が発行しているカスタマーハラスメント対策企業マニュアルによれば、企業にヒアリングをした結果、具体的なカスハラとして、以下のような行為が確認されています。

厚生労働省発行 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル 参照

カスハラ対策には、パワハラ、セクハラとは異なる難しい点があります。
まず、カスハラは相手がお客様や取引先であり、そこに雇用関係はありません。従って、会社は行為者に対して出入り禁止や行為差し止め等の直接的な措置を命ずるためには、法的手段を検討しなくてはならず、より慎重にならざるを得ません。

また、「クレームは宝物」と言われるように、商品やサービス等への改善を求める正当なクレームもあります。どこまでが正当なクレームで、どこまでがカスハラかを見極めるのが非常に難しいという点もあげられます。
社員のことであれば、研修等を実施し、予防策を講じることもできますが、カスハラの場合はなかなか直接的に働きかけるのは困難です。

従って、社員を守るためには、カスハラに発展させないための対応策、カスハラの判断基準、カスハラが起こった場合の対処等について、指針や規約等に定めておくことが必要になります。規約等がなければ、現場の社員はカスハラ対応を行う拠りどころがない状況になってしまいます。サービス業等、お客様との接点が多い会社様は、規約等の整備を検討されるべきだと感じています。

おわりに

受講者の皆様は自発的に参加された職員様が多く、ペアワークに前向きに取り組んで下さいました。また、私自身も研修を通して、医療現場で起こっているハラスメントの実態について、学ばせて頂く機会にもなりました。前職時代にお世話になった先輩達と再会することもできました。

ありがたいという感謝の気持ちを力に変えて、精進してまいります。

大道 和哉