「部下育成のコツを学ぶ」富士市社協様 OJTリーダー研修レポート
昨年度に引き続き、社会福祉法人富士市社会福祉協議会様(以下 富士市社協様)のOJTリーダー研修を担当させて頂きました。
富士市社協様が運用しているOJTリーダー制度は、職員育成計画に基づいた取組です。新規採用職員を現場の業務を通して、OJTリーダーである先輩職員が指導するというものです。この取組により、新規採用職員に基本理念及び職員行動指針を浸透させて早期戦力化を実現すること。また、職員一人ひとりの育成力の向上を図ることを目的としています。
5月23日にOJTリーダーのみを対象とした研修を実施しました。続く7月13日は、OJTリーダーと新規採用職員のペアで研修に参加を頂きました。今回は7月13日の研修内容についてご紹介をさせて頂きます。
相手を知り、信頼関係を構築する
OJTリーダーの最初の仕事は、新規採用職員と信頼関係を築くことです。それは誰もが分かっていると思うのですが、そのためにどんな行動をしたら良いかまで整理できている方は少ないのではないでしょうか。
私は信頼関係を構築するための第一歩は「相手を知ること」だと考えています。
そのように考える理由はシンプルです。例えば、福祉のお仕事では、ある利用者様にとって最善の支援プランを作成しようと思ったら、まずは利用者様のことを知ることから始めるはずです。それは、その人のパーソナリティ、現在の症状とこれまでの経緯、お仕事、家族構成、協力者との関係性等の情報がなければ、適切な支援プランの作成ができないからです。
部下育成もこれと全く同じだと考えます。部下も利用者様と同様に一人ひとり異なります。ですので、部下と丁寧にコミュニケーションを図り、よく観察をすることが重要です。私自身もそのプロセスの中で、それぞれの社員の育成するべきポイント、適切なアプローチのタイミングや距離間、効果的な指導法等が見えてくることを実感しています。
上記の考え方をベースとして、研修ではOJTリーダーと新規採用職員のペアがお互いについて理解を深めることをテーマとし、いくつかのワークを行いました。特に、日頃の仕事ぶりを確認するために実施したインバスケットカードゲームは盛り上がりました。
目標を共有し、部下と約束をする
信頼関係を構築した後に実行するべきは「部下と約束をすること」です。その理由は、私たちは重要なことは必ず事前に相手と約束をしているからです。なので、部下育成が重要であるならば、当然にその内容について約束すべきだと考えます。
例えば、お客様に訪問する際や大切な友人と食事をする際にはアポイントメントをとります。また、家や車等の高価な物を購入する際には、お金を支払う前に契約を結ぶます。このアポイントメントや契約は、お互いが内容を確認した上で合意(約束)をしています。
約束を違えることで、信頼や友人を失ったり、場合によっては損害を賠償しなくてはならないケースもあったりします。私は約束とはそれほどに重要なものだと認識しており、人との約束・自分との約束はできる限り守るように努力をしています。しかし、実際にはそれでも守れない時があります。そのような有様ですから、約束をしていない物事については、ほぼ相手の期待に応えられていないと思うのです。
部下育成の話に戻します。上記の根拠から、部下と全く約束しないで指導をしているならば、それは部下育成が成立しているとは言えないのではないでしょうか。
まず、上司は部下に目指すべきゴールを示し、現状の姿を確認する必要があります。そして、ゴールと現状とのギャップを確認し、そのために具体的にとってほしい行動や身に付けてほしい知識やスキルについて話し合うこと。そして、最後はお互いがその行動計画に沿ってゴールの達成を目指すことについて合意(約束)をします。
あらかじめ約束をしたことに対して指導をされた時と、約束がなくて急に指導をされた時の部下の受け止め方は全く異なります。前者の納得度の方が高くなるのは言うまでもありません。部下と適切な約束をすることができるかどうかが、部下育成を行う上での大きなポイントだと捉えています。
おわりに
研修の最後には、OJTリーダーと新規採用職員のペアで約束をして頂きました。来年1月にはOJTリーダーを対象としたフォローアップ研修が予定されています。育成の進捗をお伺いできる日が楽しみです。
OJTリーダー研修以外にも、富士市社協様の「人材定着・育成」に関する様々な取り組みに参画しており、多くのことを学ばせて頂いております。
少しでも期待に応えられるよう、精一杯役割を果たしてまいります。
大道和哉