「生徒に選ばれる学校をつくる意義について」静岡市立清水桜が丘高等学校 第2回悉皆研修会レポート
研修会実施の経緯
清水桜が丘高等学校(以下、桜が丘高校)では、「スクール・ミッション」と「スクール・ポリシー」を実現するため、静岡市教育委員会、清水桜が丘の教職員、そして外部アドバイザーで構成される魅力化小委員会が設置されました。このような経緯の中、関係者とのご縁から、弊社の大道和哉が外部アドバイザーとして本委員会に参加させて頂くことになりました。
今年度はその取組の一環として、現状の把握を目的に、在校生・中学生・中学生の保護者を対象にアンケート調査を実施しました。このアンケートの集計結果を基に、清水桜が丘が目指すべき方向性を教職員の皆さまと共に考える場として、第1回悉皆研修会が開催され、弊社の大道和哉が講師役を務めさせていただきました。
そして、第2回悉皆研修は、旧清水商業高等学校を象徴するOBであり、現在はジュビロ磐田のスポーツダイレクターとしてご活躍中の藤田俊哉さんをお招きしました。桜が丘高校OBとして、当日の司会進行を務めさせて頂きました大道桂三より、研修会の内容について報告させて頂きます。
第2回悉皆研修会の内容
第2回悉皆研修会実施の趣旨
第1回悉皆研修会を経て、清水桜が丘鈴木校長・魅力化小委員会を中心に「生徒ファースト」の視点で、「生徒に選ばれる学校づくり」として学校改革取組を検討・実施されてきました。
第2回悉皆研修会は、教職員の皆さまが、清水桜が丘の学校改革の重要性と方向性に対する理解を、より深めることを目標とし実施いたしました。
第1部 藤田俊哉さんによる講演「生徒に選ばれる学校をつくる意義について」
藤田さんには、これまでのご経験と清水桜が丘の現状を踏まえ、「生徒に選ばれる学校をつくる意義」についてご講演いただきました。
講演では、藤田さんから清水桜が丘が進める「生徒ファースト」の学校改革の方向性にご賛同いただき、その理由について実体験を交えながらお話しいただきました。
藤田さんが学生時代を過ごした頃、静岡県は全国的にサッカーの強豪地域であり、全国大会で日本一になるのが当たり前の時代でした。当時、藤田さんはその時代の中心でご活躍されました。そんな学生時代を「先生方や親がすごい挑戦をさせてくれた。トライすることに制限がなかった」と振り返られていました。
現在では環境や教育方法が変化していますが、藤田さんは「生徒ファーストで挑戦できる環境をつくる」という考え方が、時代を超えて重要であると話されていました。
第2部 パネルディスカッション
第2部では、藤田俊哉さんと清水桜が丘の鈴木校長によるパネルディスカッションが行われました。以下のテーマを中心に議論が展開されました。
■パネルディスカッションのテーマ
①学校改革の方向性
②学校改革に起こりつつある変化
③先生から聞きたいこと!「海外と日本の指導の違い」
④突破する力
清水桜が丘の学校改革では、「突破する力」を重要な理念の一つとして掲げています。
テーマ④「突破する力」においては、学校改革という大きな課題を乗り越えるために必要な要素について、藤田さんがご自身の考えを共有してくださいました。
藤田さんは、まず「成長できる環境づくり」が重要であると話されていました。これは第1部の講演でも触れられた「生徒ファーストで挑戦を応援する環境」を作ることに通じており、生徒が主体的に挑戦できる学校づくりが必要だと語られました。
また、もう一つの重要な要素として「継続することの大切さ」を挙げられ、たとえ困難に直面しても目指すべき行動を続けていくことが、突破するための鍵である。
藤田さんの実体験を交えた説得力のある言葉に、教職員の皆さまが真剣に耳を傾けている様子が非常に印象的でした。このパネルディスカッションを通じて、清水桜が丘が目指すべき学校改革の方向性がさらに深く共有されたと感じました。
研修を通して感じたこと
今回の研修を通じて、時代とともに変化すべきことと、時代を超えて変わるべきではないことの両方があると学びました。
清水桜が丘高等学校では、「生徒ファースト」を掲げ、生徒に選ばれる学校づくりを進めています。一方で、数十年前に旧清水商業高等学校に在籍していた藤田俊哉さんは、「先生方や親がすごい挑戦をさせてくれた。トライすることに制限がなかった」と語られました。当時、科学的なトレーニング方法が確立されていない中で、朝早くから夜遅くまで練習に励むことも応援し支援してくれた、これが藤田さんにとっての「恵まれた環境」だったと話されていました。
このお話から、藤田さんが学生だった頃も、現在も「生徒ファースト」の重要性は変わらないですが、生徒に選ばれるための具体的な取り組み方は時代に応じて変化していくべきだと感じました。例えば、朝早くから夜遅くまでのトレーニングの実施について、地域の協力を得ることが難しい一方で、インターネットを通じて現在では科学的に裏付けられた効率的なトレーニング方法など、有益な情報を迅速に得られる環境が整っています。
これからはAIの導入など、世の中がさらに目まぐるしく変化していくことが予想されます。その変化に柔軟に対応する一方で、人として大切な根幹は変えずに持ち続けることが、学校改革だけでなく、私自身の人生においても必要であると実感しました。自分自身が今回の機会で感じ得たことを、藤田さんのお言葉にもあった「継続することの大切さ」を持って、取り組んでまいります。
最後に、旧清水商業高等学校を卒業して14年が経過し、未熟者にも関わらず学生時代に御世話になった先生方の、研修会の進行役として母校に帰ることができたことは、大変感慨深い経験となりました。この場を通じて、初心に立ち返る機会をいただけたことに深く感謝申し上げます。貴重な機会を頂きまして、誠にありがとうございました。
大道 桂三