新入社員の論語勉強記! 第10回
大道桂三です。
新入社員として良き習慣を身につけるために論語を学んでいます。毎週、1章句ずつご紹介させて頂きます。
論語とは、孔子とお弟子さんとのやりとりをまとめた本で、儒教を代表する経典になります。日本では江戸時代の寺子屋や藩校などで一番盛んに読まれていたといわれており、若い人を育てるときの教科書となっていたそうです。優しい気持ちや慮り、あるいは努力する心、言い訳しない潔さ、人との距離のはかり方など、日本人らしさともいえる考え方のもととなるものがたくさんあります。
未熟極まりない文章ではございますが、最後までお読み頂けましたら幸いです。
■章句
子(し)、子貢(しこう)に謂(い)いて日(のたま)わく、
女(なんじ)と回(かい)と孰(いず)れか愈(まさ)れる。
対(こた)えて曰(い)わく、賜(し)や何(なん)ぞ敢(あえ)て回を望(のぞ)まん。
回(かい)や一(いち)を聞(き)いて以(もっ)て十(じゅう)を知(し)る。
賜(し)や一(いち)を聞(き)いて以(もっ)て二(に)を知(し)る。
子(し)日(のたま)わく、如(し)かざるなり。
吾(われ)と女(なんじ)と(し)かざるなり。
■訳
先生が子貢におっしゃった。「お前と回(かい)とは、どちらが優秀かい?」
子貢が答えた。「僕などは、回君とは比べ物になりません。回君は一を聞いたら十を知るほど聡明(そうめい)です。僕は一を聞いて二を知る程度です。」
先生がおっしゃった。「そうだね。お前だけでなく私も回にはかなわないよ。」
■感想
回(かい)とは顔淵(がんえん)という孔子の一番弟子です。門下生の中で、もっとも優秀な弟子でした。その回は残念ながら若くして病気で亡くなりましたが、人柄も素晴らしく、学問の面で見ても誰もが認める優秀な人物だったそうです。子貢もまた優秀な弟子1人で、のちに政治家として成功した人物です。
孔子は子貢に対し、回と子貢どっちが優秀か聞きますが、孔子は子貢を試したのだと思いました。子貢も優秀な弟子ですが、誰もが認める回と自分(子貢)を比較し、どう答えるのか。子貢は孔子の期待を裏切らず、回には及ばない。回は一を聞いて十を知る事ができるが、私はまだ一を聞いて二を知る程度ですと答えました。
この子貢の答えで関心したことが2つあります。1つ目は素直に回に及ばないと認め、孔子に発言したこと。2つ目は私は一を聞いて二を知る程度だと、謙虚な姿勢で自信の力を分析していることです。人は他人と競争することで、モチベーションがあがり良い結果に結びつくことがあります。しかし、そんな競争の中でも一番のライバルは自分自身だと私は思います。子貢は一緒に学ぶ回の能力は素直に認めるが、子貢も学びを続け、回には及ばないが成長をしています。章句だけを読むと、回が優れていて子貢が優れていないと捉えてしまいがちですが、一を聞いて二を知ることもまた凄い領域だと思います。正直、私は一を聞いて一を知るがぎりぎりの状況です。
この章句で感じたことは、驕らず謙虚な姿勢で学び続けることです。私は章句から以下の項目を行動習慣にしてまいります。
①他人の力を素直に認める
②自分の力を過信しない。
論語では仁、思いやりの心が一番大切だと言っています。他人の力は素直に認め、自分の力は過信せず、驕らず謙虚な姿勢で学び続ける。その結果、仁が養われていくのだと思います。行動を変えてもすぐに結果はでませんが、やり続けないと絶対に結果は変わりません。引き続き、驕らず謙虚な姿勢で学び続けてまいります。