富士市社会福祉協議会様 令和6年度OJTリーダー制度 取組レポート

セミナー 研修受託事業

社会福祉法人富士市社会福祉協議会(以下「富士市社協」)様では、令和4年度から人材育成計画の柱の1つにOJTリーダー制度を位置づけ、運用を行っています。

OJTリーダー制度とは、新規採用職員1名に対して、職場の中で1年間育成を中心に担う担当者を定めて、ペアを組んで教育を進めていく仕組みです。
富士市社協様が掲げる目的は、新規採用職員に対して、職員として大切にするべき理念や行動指針浸透させて、業務レベルの向上を図ること。また、OJTリーダーの育成力を高めることも、重要なテーマとしています。

OJTリーダー制度は、社員の多い企業や官公庁で採用されていることが多いですが、中小企業で導入している企業は少ないと感じています。しかし、当たり前のことですが、中小企業でも自然な形で先輩が指導を行っています。
近年は、人材の採用や定着が難しくなっている中で、中小企業様からもっと計画的に新人の教育を行いたいということで、OJTリーダー制度等についてお問い合わせを頂く機会が増えました。
そこで今回は富士市社協様からも御協力を頂き、令和6年度のOJTリーダー制度の取組について、ご紹介をさせて頂きます。

1年間の取組/令和6年度OJTリーダー制度

4月/OJTリーダー研修

  • OJTリーダーのみを対象とした研修
  • 組織が人材育成を行う目的
  • 富士市社協職員が目指す職員像(育成の方向性の共有)
  • 育成のコツ① リーダー自身が自律型人材を目指すこと
  • 育成のコツ② 目的と目標を明らかにする
  • 育成のコツ③ 約束をする
  • 育成のコツ④ 指導する際のポイント

6月/ペア研修

  • 新規採用職員とOJTリーダーのペアを対象とした研修
  • 富士市社協職員が目指す職員像(育成の方向性の共有)
  • コミュニケーションワーク(自己理解と他者理解)
  • 理想のチームの条件・目標を共有することの重要性
  • ペアワーク(育成目標・育成計画を立てる)

9月頃/1回目の3者社面談

  • 新規採用職員、OJTリーダー、所属長による3者面談
  • OJT進捗確認シートを用いた点検
  • 育成目標・育成計画の進捗確認

令和7年1月頃/OJTリーダーフォローアップ研修

  • OJTリーダー研修の復習
  • ワーク(育成を行う中で課題と解決策)等

令和7年3月頃/2回目の3者面談

  • 新規採用職員、OJTリーダー、所属長による3者面談
  • OJT進捗確認シートを用いた点検
  • 育成目標・育成計画の進捗確認
  • 令和6年度OJTリーダー制度の総括

おわりに

今年度も富士市社協様のOJTリーダー制度の講師兼アドバイザーという立場で関わらせて頂き、私自身が多くのことを学ばせて頂いております。
人材育成を行うにあたっては、教える側の資質向上や入念な計画が必要だと思います。しかし、どれだけ準備をしたところで、教わる側に「仕事を覚えて成長したい!」という意欲がなければ、その効果は限定的なものになってしまいます。最近は、自社の社員育成に奮闘する中で、啐啄同時(そったくどうじ)の重要性を痛感しています。

啐啄同時は禅の言葉のようですが、啐(そつ)というのは、子どもである雛が内側から卵の殻をつつくこと。啄(たく)は、親鳥が外側から殻をつつくという意味です。雛が卵から出ようと鳴く声と、親鳥が外から殻をつつくタイミングが同時でなければ、雛は生まれることはできません、という意味になります。

人材育成はまさに啐啄同時です。教える側のタイミングでいくら熱心に教えたところで、効果はほとんど期待できません。しかし、教わる側が求めたタイミングで、教える側が適切なアプローチを行うことができれば、大きな成果が得られることを、これまでに何度も経験してきました。
私は啐啄同時はビジネスや子育てにも通ずる哲学だと考えており、相手から求められた時こそ、好機であると捉えています。

OJTリーダー制度等の取組を通して、地域企業の人材育成や人材の定着に少しでも貢献できるよう、日々の実践から真剣に丁寧に学んでまいります。

大道和哉